澄んだ川の流れの中にキラッと光る魚影。
近くで良く観察したいけれども、なかなか近づかせてはくれません。
「流線形の魚体に美しいパーマーク」
人里離れた、渓流に潜むこの魚はヤマメと言います。
ヤマメ、漢字で「山女魚」と書きます。
まさに渓流の女王ですね。
今回はヤマメの生態について紹介していきます。
ヤマメの生態
ヤマメはサケ科サケ属の魚で、もともと海に下るはずだった個体が陸封された魚です。
この降海型のヤマメ(海を回遊して生まれた川に戻ってくる)をサクラマスと言います。
ヤマメの生息域
ヤマメは冷水性の魚です。
渓流の上流域に生息し、同じ上流域に生息するイワナが流れのゆるい場所を好むのに対し、ヤマメは割と流れの早い場所を好みます。
季節ごとのヤマメの生息場所は、
- 春…まだ水温が上がりきっていない季節は、流れのある淵などでカゲロウなどの水生昆虫を捕食できる場所に定位しています。
- 夏…流れのゆるい場所では水温が上がるため瀬など流れの早い場所にいることが多いです。陸生昆虫を積極的に捕食するのもこの季節。
- 秋…産卵のため、砂底の割と緩い流れの場所に移動してきます。
- 冬…水温の低い冬は、水深のある淵の岩陰などに身を隠しています。
※ヤマメの生息的水温は12~13℃です。
分布
ヤマメは北海道、本州、九州の河川上流部と日本以外では、朝鮮半島、台湾などにも分布しています。
(瀬戸内海流入河川、近畿、東海地方太平洋沿岸を除く)
食性
肉食性の魚で主に水生昆虫(カゲロウ、カワゲラなど)や、暖かい季節になると陸生の昆虫が水面に落下した時に捕食したりもします。
魚食性はありますが、稀です。
寿命
ヤマメの寿命は1~3年と言われています。
オスは1年で成熟し、メスは2~3年成長し産卵して生涯を閉じます。
パーマーク
ヤマメの体には小判状の斑点模様があります。
これをパーマークと言います。
養殖のヤマメほどパーマークの形が揃っていて、天然の血の濃いヤマメの場合は不揃いの独特なパーマークになる傾向があります。
縄張りを象徴するものと言われていて、小さな川で個体数が少なく、個々の縄張りが確立されているとパーマークが濃くなる傾向にあるようです。
これとは、逆に個体数の多い場合などは、個々の縄張りを主張出来ないため、体の模様が薄くなる疑似銀毛という現象が起こります。
〔銀毛(ぎんけ)とは〕
海に下るサケ科の魚は本来、幼魚期にある体の模様が薄くなって銀色の魚体になっていく傾向にあります。(婚姻色は別)
これは、体色を薄くし外的から身を守ることや、海を回遊するため、縄張りが必要なくなるため、といわれています。
ヤマメの場合、成魚になってもパーマークは消えませんが、寒い季節になると体色が薄くなり、銀色になる銀毛が起こります。
渓流釣りの解禁当初に釣れるヤマメはこの銀色の体色がまだ残っていて、春の風物詩として人気があります。
銀毛=シラメと言ったりもします。
ヤマメの成長
秋に生まれた卵からヤマメの稚魚が孵るのは冬。
お腹に付いた、栄養袋から養分を得て、基本的に卵のあった場所をあまり動きません。
1~2ケ月経つと、約2㎝ほどに成長し、水面に浮上できるほどに泳げるようになると、小さな水生昆虫などの餌を捕食するようになります。
初夏を迎えるころには、体長が9㎝ほどに成長し、ヤマメらしい体になってきます。
二年ほど成長すると産卵出来るまでに成長します。
大きさは、成育環境により様々て15cmくらいから、大きいものだと40cmを越えるようなヤマメもいます。
大きくなりすぎると、サケに見た目が近づき、カッコいい感じになってしまうので、個人的には25~30cmくらいのヤマメが一番綺麗だなと感じます。
まとめ
ヤマメは綺麗で冷たい、川の上流に棲む渓流の女王です。
近年は天然の数も少なくなり、釣りでもしない限り生きた個体に出会う機会もなかなかないと思います。
家族キャンプなどで山や渓流に行くことがあればヤマメ釣りをしてみるのも楽しいかもしれません。
綺麗な魚体に出会えるかも知れませんよ?
今回は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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