【フライの種類】フライタイイングを考える

タイイング入門

フライタイイングを始めようと思った時に、何を最初に巻いたらいいか迷うことがあると思います。

そんなときの参考になればと思い、渓流での水生昆虫別のフライタイイングの考え方とフライの種類やタイイングの難易度を紹介していきたいと思います。

渓流魚の餌となる虫たち

渓流魚に捕食される虫と成長別の特長を知っておけばタイイングの参考になると思います。

イワナやヤマメは常に水中や水面に流れてくる虫、水生生物を捕食して生活しています。

では、それぞれ紹介していきましょう。

カゲロウ(メイフライ)

このブログにも何度も登場するカゲロウは日本でも渓流を代表する水性昆虫です。

幼虫→亜成虫→成虫と3段階の成長過程があって、とても多くのイミテーションされたフライが誕生しています。

幼虫期(ニンフ)

カゲロウの幼虫時代をニンフと言います。
川底の岩等に張り付いて藻などを食べて生活しています。

ある一定時期になると羽化が始まって次の成長段階に移行します。

カゲロウの種類によって形や大きさは違いますが、基本的にシーズン中川の中には常にいる虫になります。

このカゲロウの幼虫をイミテートしたのがニンフフライです。

代表的なのがゴールドリブドヘアーズイヤーですね。

水温が低い、魚が浮いてこないなど、ドライフライで釣れない困った時にはこのフライを使う感じです。

亜成虫(ダン)

他の虫にはないカゲロウの特徴として幼虫と成虫の間に亜成虫という行程があります。

幼虫が水面から脱皮しつつ上がってきて、飛び立つ段階なのですが、脱皮の途中で水面を漂って魚に食われたり、脱皮に失敗して流されて行ったりと中々に不安定です。

人間で言えば思春期みたいなものでしょうね。

この不安定さをフライに表現できると、魚に狙われやすい釣れるフライになりますね。

フライで言うとCDCダンやパラダン(ハックルを少な目に巻いたパラシュート)などがあります。

成虫(スピナー)

亜成虫からもう一度脱皮したカゲロウは完全な成虫になります。

しかし、その寿命は数時間~数日ととても短いです。

カゲロウはこの短い期間にパートナーを作り、次の世代に命を繋いでいきます。

産卵のために水辺に戻り、生涯を終えたカゲロウが流されて魚に食われるわけです。

この成虫の状態をスピナーと呼びます。

このスピナーをイミテートして作られたフライは水面にぴったりと張り付いたようなフライが多いです。

トビケラ(カディス)

カゲロウと並んで渓流の代表的な水性昆虫です。

成長段階は幼虫→蛹(サナギ)→成虫となっていて、やはり多くのフライが存在します。

幼虫(ラーバ)

水中で黒光りしたちょっとグロい芋虫みたいのがいたらきっと、トビケラの幼虫(ラーバ)です。

餌釣りでも黒川虫と言って馴染みがありますね。

蛹(ピューパ)

幼虫から成長したトビケラは蛹になります。

蛹の間は水中の岩影等に巣を作っているので食われにくいですが、成虫へと脱皮する際やはり水面に上がってくるので、そのタイミングで食われます。

成虫(アダルト)

無事に脱皮を終えたトビケラは成虫となって飛び立っていきます。

何かの拍子に水面に落ちた虫が渓流魚の捕食対象になります。

カワゲラ(ストーンフライ)

水生昆虫としてはあまり重要にされていない虫。だけど、時と場所によって大量に発生する。

初夏の山岳渓流などでのイワナ狙いなどでは外せない虫です。

幼虫期(ニンフ)

カワゲラの幼虫もフライではニンフと呼びます。

カゲロウよりも大型なのでフライにするときも大き目のフックを使うことが多いです。

幼虫の時期が終わると蛹がなく、いきなり成虫が羽化します。

カワゲラの幼虫も餌釣りで多用される俗にオニチョロと呼ばれます。

成虫(アダルト)

成虫になると水辺から飛び立つので、渓流魚に捕食されるタイミングとしては幼虫が羽化のために陸に向かっている途中か、成虫が不意に水面に落下した時などになります。

陸生昆虫(テレストリアル)

渓流付近にいる渓流魚の捕食対象になる陸生昆虫をテレストリアルと言います。

初夏~秋にかけて活躍するフライが多いのでチェックしておきましょう。

昆虫の種類としては、

  • ハネアリ
  • コガネムシ
  • クモ
  • バッタ
  • 蜂類

がいます。それぞれの体の特長を押えて、タイイングにフィードバックできれば釣りがより一層楽しくなり、魚も釣れやすくなるはず。

水中にいる珍しい昆虫だとヨコエビというエビの仲間なんかがいます。
フライではスカッドと呼ばれます。

極小昆虫(ミッジ)

主に、ユスリカなどの凄く小さい虫をミッジと言います。

ユスリカも幼虫→蛹→成虫の成長過程をたどっていきます。
幼虫と蛹(ピューパ)は水中を漂っている間に魚に捕食されます。

年中ハッチしているのでシーズン初期の水温がまだ低い時期などメイフライがハッチしないときに活躍するフライになります。

一般的にフックサイズが#20以下のフライをミッジフライと言います。

因みに幼虫、これも餌釣りで良く使われる赤虫です。

ガガンボ

水辺の昆虫としては、上にあげた以外にガガンボなんかも捕食対象になります。

成長サイクルも他の昆虫とほぼ同じの、幼虫→蛹→成虫の順です。

渓流の場合、川岸の草などに集団で溜まっていることが多く、風が吹いたタイミングで大量に水面に落とされ、そこを待ち構えていた魚に捕食されるという事があります。

体は小さいけれど、足が長い昆虫です。

フライの種類

それぞれの水生昆虫を大きく分けるとドライフライとニンフフライです。

以下にそれぞれのフライについて解説します。

ドライフライ

水面に浮くフライでメイフライ、カディス、ストーン、テレストリアル、ミッジなどがあります。渓流で使うフライの主力たちです。

メイフライ

主にカゲロウをイミテーションしたフライになります。

・スタンダード:タイイング難度…★★~★★★★

ライトケイヒルやクイルゴードン、ロイヤルコーチマンなど伝統のあるものが多い、フライを余り知らない人が想像する毛鉤の形だと思います。

ウィングの素材や取り付けかたによって難易度が変わってきます。

※スタンダードフライのタイイングはこちら

・パラシュート: タイイング難度…★★~★★★

目印のついている視認性と汎用性の高いフライ。

人気も高くタイイングをするなら覚えておきたい初心者向きの一本です。

ハックルの量、テイルの本数や向きで魚の反応が変わるかも…。

※パラシュートフライのタイイング方法はこちら

・CDCダン : タイイング難度… ★★~★★★

ウィング部分に浮力の高いCDCを使ったフライ。

ウィングの取り付け位置やフックの形状で、フライの浮きかたやドラッグが掛かったときの動きが変わる面白いフライです。

シンプルに作ると割りと簡単なので初心者向きです。

・パラダン: タイイング難度…★★★

パラシュートを水面に張り付くようにハックルを薄く巻いた改良型です。

テイルの本数などにこだわりたいところです。

・スピナー: タイイング難度…★★★

ウィングを虫の羽が開いたように横に取り付けたフライです。

こちらも水面に張り付く様に浮くのが特徴です。

カディス

主にトビケラの成虫をイミテーションしたフライが多いです。

・エルクヘアカディス : タイイング難度…★★

フライフィッシングを始めると必ずと言っても良いほど揃えるフライだと思います。

※エルクヘアカディスのタイイング方法はこちら

それだけ釣れて使いやすい、汎用性の高いフライです。

ハックルやウィングの取り付け方などタイイングの基礎動作が詰まっているのでタイイング初心者が一番最初に覚えるおすすめフライです。

ウィングにエルクヘア(鹿の毛)を使っています。

・CDCカディス: タイイング難度…★★★

エルクヘアカディスのウィング部分がCDCになったVerです。

浮力が高いのも去ることながら、視認性も向上します。

・フローティングピューパ: タイイング難度…★★★

トビケラが蛹の状態から成虫に脱皮しようと水面に上がってきたところをイミテーションしたフライです。

魚のライズが水面付近でモゾっとしたようなものならラーバかピューパを食べていると考えられます。

ストーンフライ(アダルト)

比較的にボリュームがある水生昆虫。春~夏の山岳渓流でイワナを狙う際は用意しておきたいフライです。

形状が少し複雑なものが多いのでタイイングも少し難しくなります。

・フラッタリングストーン: タイイング難度…★★★★

ミドリカワゲラのイミテーション。

日本の渓流に良くいるカワゲラでフライの形状としては、エルクヘアカディスに一対の短いテイルとウィングケースが付いたような形をしています。

・CDCストーン:タイイング難度…★★★★

大型のカワゲラをイミテーションする際はウィングをCDCで作ると浮力が向上します。

・スティミュレーター:タイイング難度…★★★★

アメリカ発のストーンフライ。エルクヘア―にスタンダードを合体させたような形状をしています。

テレストリアル

暖かい季節になると陸の昆虫も活発に動き出します。木の枝などから落下してくる昆虫を魚が狙っている場合はテレストリアルが有効です。

・パラビートル:タイイング難度…★★★

甲虫(コガネムシなど)をイミテーションしたフライをパラシュートにしたもの。

夏のイワナヤマメ狙いには外せません。

・パラアント:タイイング難度…★★★

羽アリをイミテーションしたフライです。

こちらも良く使われるフライです。秋にも羽アリは大量に発生するので比較的長いシーズン使えます。

・ハンピー:タイイング難度…★★★

パラビートルによく似たパターンでハックルの向きがスタンダードフライのように巻いてあります。

ミッジフライ

ユスリカのイミテーションが多いです。
フックが小さくなるのでゴテゴテとマテリアルを付けずシンプルなものが多いのでタイイングは割りと簡単です。(目が見えれば…)

・パラミッジ:タイイング難度…★★★

ミッジをパラシュートにしたフライです。
ハックルをパラっと巻いてボディを水中に吊り下がるような感じで作ります。

・グリズリーミッジ:タイイング難度…★★

フックにスレッドとグリズリーハックルのみで巻かれたフライ。

とても小さいフライの場合、マテリアルを付けにくいのでこういったフライになります。

・グリフィスナット :タイイング難度…★★

ピーコックとコックネックで巻いた毛虫のようなフライ。意外なほど釣れます。

ニンフフライ

フライを沈めて釣るという観点から行くと、ニンフとウェットに分かれます。

ニンフフライ

川虫の幼虫をイミテーションしているニンフフライ。リアルな虫は気持ち悪いですがフライなら上手く巻けばカッコいいです。

・ゴールドリブドヘアーズイヤー:タイイング難度…★★★

カゲロウの幼虫をイミテーションしているフライです。ニンフフライを作るなら先ずはこれ!

困った時に頼れるフライです。

※GRヘアーズイヤーのタイイング方法はこちら

・フェザントテイル :タイイング難度…★★★

こちらはカワゲラのイミテーションと言われていますね。

本来はフェザントテイル(雉の尻尾)のみでタイイングするのでこの名前がついています。

・カディスラーバ :タイイング難度…★★

その名の通りトビケラの幼虫のフライです。

上の二つと比べるとタイイングが一番シンプル です。

ウェットフライ

フックにウィングを立てて川を流される虫をイミテーションしたものが多いです。ウィングを上手く巻けるようになるのは少しだけコツが必要です。

・マーチブラウン:タイイング難度…★★★

ヘアーズイヤーのボディにヘンフェザントの羽を使ってウィングを取り付けた、歴史のあるフライ。

ボディをシルバーティンセルに変えると、シルバーマーチブラウンというウェットフライになります。

・ソフトハックル:タイイング難度…★★

フロスのボディにパートリッジというとてもシンプルなフライです。

フロスの色が肝です。

シンプルでなんにでも見えるせいか、とても釣れるフライでタイイングも簡単なのでウェット入門におすすめです。

まとめ

ここまで紹介したフライ以外にも、数えきれないほど種類があります。

狙う魚と魚の捕食する虫の特長を覚えて、タイイングするフライの一部に再現するだけでも魚の反応はかなり変わってきます。

色んな昆虫を観察してフライに活かせそうなものがあればどんどんタイイングに挑戦していくと腕も釣果も上がって一石二鳥です。

どんどんタイイングに挑戦していきましょう。

このブログ内ではそれぞれのフライタイイングを順次アップしていきます。

興味のある人はたまに覗いてみてください。

今回は以上です。

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